『SDGsがめざすもの』 新春フォーラムを開催
【作成日:2021年01月07日】
2015年9月の国連サミットで採択され、国連加盟193か国が2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた目標である「SDGs」について、連合本部副事務局長 矢木 孝幸氏をお招きし、『SDGsがめざすもの』をテーマとしての講演を頂きました。
矢木副事務局長は、1987年 京都大学理学部卒業後、東芝府中工場に入社され、産業用電算機基本ソフト開発に従事、東芝労働組合府中支部執行委員、電機連合海外研修生としてハーバード大学およびロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)に留学、在米日本大使館(ワシントン)にて一等書記官等を経て、東芝労働組合中央執行委員、東芝グループ連合事務局長、電機連合書記次長などを歴任され、2017年10月より、現職として活躍されておられます。
2015年の国連サミットにて、「誰一人取り残さない世界を実現するため」として掲げられたSDGsには、前身となる目標「MDGs(ミレニアム開発目標)」がありました。貧困や飢餓の撲滅、初等教育の達成などを主としたもので、複数ある目標においていくつかに前進が見られたものの、民間企業などからの関心は薄く、多くの項目が達成できないままでした。そこで2015年に、MDGsを継承する形でSDGsが発表されましたが、発表当時、経済界はあまり反応していませんでした。 そのため、国連や各国政府が中心となりSDGsを行政や企業・国民(市民)が一体となって本気で取り組むように要請する動きが強まりました。日本では総理大臣を本部長とする「SDGs推進本部」を設置、経団連は「Society 5.0 for SDGs」をスローガンに掲げSDGsを軸とした企業行動憲章の大幅改定を行い企業への呼びかけをするなど、SDGs推進の動きは広がりを見せています。 企業の経営理念やビジョン、ミッションなどの再定義、あるいは中期経営計画の策定に際して、SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)を盛り込むことは社会から求められています。
一昨年、策定された「九電グループ経営ビジョン2030」もSDGsが盛り込まれています。 そもそも どのような背景のもとでSDGsが求められているのか、また実際に盛り込む際は具体的にどういった点に留意し、どういったステップを踏んでいけばいいのかなど理解を深めております。
~以下、講演内容のポイント~
○前身となる目標「MDGs(ミレニアム開発目標)」が2015年との期限を設けて掲げられた。
【MDGsを裏で支えた偉業】
・2007年7月九州・沖縄サミットで世界基金(世界エイズ・結核・マラリア基金)が採択され感染症対策が進んだ。
○MDGsとSDGsの特徴的な違い
・MDGsは途上国の課題が中心(途上国がターゲット)
・過去のデータや現状を基にした目標
・SDGsは世界全体の共通課題・未来志向の野心的な目標、誰一人取り残さない包括的な社会を目指す。社会・経済・環境面の課題を17のゴールで網羅した「人類・地球の目指す姿」を示している。
○SDGs取り組みの原則
・先進国を含め、すべての国が国内と国外の両面で行動する。
・「誰一人取り残さない」包摂的な取り組みを行う。
・すべてのステークホルダー(政府・企業・NGO・有識者等)が役割を持つ
・指標を定め、定期的にフォローアップし、評価・公表する。
○SDGsにおける経済界参入の背景
・気候変動、技術革新(イノベーション)働きがい(成長・雇用)という先進国の課題も目標となっている。
・各国の国内における達成目標を定め、日本国内の全省庁が実施主体となった。
・2017年のタポス会議においてSDGsの推進により12兆ドルの価値、3億8千万人の雇用が創出されるとの推計が出された。
講演の最後には、「新規成長分野はまだまだある」何ができるかを考え・実行することが人類の将来をより強靭にすることに必ずつながると述べられました。